最後の惑星
2018年02月12日
第5章 最終章 別れ路 -最後の惑星-①-
「加奈、まだか?」
「え~っと…」
「加奈、またなのか…」
「だって…」
「わかった、わかったよ」
サタンは加奈の部屋の入りました。案の上、いつものように加奈は、上着を前と後ろ反対に着て、腰ひもはダランと垂れ下がり、靴下は、半分ずれて髪の毛はボサボサでした。
サタンは加奈の身だしなみを直すのが日課になってしまいました。
「ほら、こうして結べば、綺麗に蝶結びになるだろう」
「じぃ~~」
加奈は、腰ひもではなく、サタンの顔を見つめていました。
「な…なに?」
「サタンは男の子なのに、なんで何でも上手に出来るの?」
「お、男の子!?」
「だって、サタンはまだ19才なんでしょ。私の星だと高校卒業して大学に入ったばかりの年齢だよ」
「だから?」
「まだ、ワイワイガヤガヤする歳なのに、サタンは大人だよね」
「それで?」
「19才って、まだ多感な年頃だよね。女の子にもいっぱい興味あるよね」
「何が言いたいんだ、加奈」
「サタンも、ミーティア王女様みたいにグラマーが好きなの?」
「ええ~!? な、なんでそんな話になるんだ!?」
「だってぇ…」
「ほ、ほら、こっち向いて。ボタンがずれている」
二人の様子をそっと見ていたペルセウス王子は、笑いが止まりませんでした。
「ククク、アッハハハ!! おかし~い、お腹が痛くなるぞ」
「王子、悪いわよ。そんなに笑うなんて」
「あの二人、可愛いなあ。アハハハ。もうだめだ。腹がちぎれそうだ」
二人はとても初々しく映りました。クールなサタンも加奈にかかっては、何か調子が狂ってしまうのでしょう。
ようやく目覚めた加奈の服を直しながら、サタンはこんな有りふれた日常がとても幸せで、満ち足りた気持ちになるのでした。しかし、二人の路はもうすぐ右と左に別れる日が近づきつつありました。
「お…お待たせし…ました」
ライが両手いっぱいの荷物を持って、部屋に入ってきました。
「ライ、何!? そのいっぱいの荷物??」
「王子とミーティア王女様からの贈り物です」
「ええ~~?? こんなにいっぱい!」
「あら、加奈、これでも半分に減らしたのよ。本当は、全部持って行ってもらいたいのに、サタンたら必要無いなんて言うんですもの」
「ハ…ハア…」
加奈は、凄い荷物の山にびっくりするばかりでした。
「それでは、宇宙船の方へお持ちしますが…」
「少し待ってくれないか。城より離れているところに、宇宙船を待機してあるから」
サタンと加奈は、王子と王女に別れを告げて、また、サタンの宇宙船へと戻って行くのでした。
ライは、アンドロメダ星までついて行く事になりました。サタンの宇宙船は、アンドロメダには降りられないので、ライが一緒に、イカロス号で降りる事になったのです。
ライ自身は、地球まで、いいえ、ずっと加奈の従者としてついていきたかったのですが、それは許されませんでした。
タルタロスの存在が完全に消滅したか分からないし、ペルセウス王子が王に即位後、ライの力が必要なはず、と加奈は思ったのでした。
だからと言って、ライの気持ちを無下に断れないので、アンドロメダまでとなった訳です。
サタンの宇宙船内の高度の設備や乗組員のロボット、サイボーグは、ライにとって何もかもが新鮮でした。
「サタン様、加奈様、お帰りなさいませ」
「一人ライが増えるから、そのつもりで」
「はい、サタン様。メシエ様からお話があるそうです」
「すぐに行く。加奈、ライの部屋は、僕たちの隣にするから、そっちで待っててくれ」
「うん」
加奈とライは荷物の整理を始めました。
たくさんの服、宝石、そして食べ物、全部の荷物を開けるのに、1日では終わらないくらいでした。
「こんなにいっぱいの服、まるでこれじゃあファッションショーが出来ちゃうわ」
「ファッションショー?」
「あれ…この石のような金属? 何か不思議な力を感じるけど…」
「さすが加奈様。この金属の力を見抜くとは! この金属はオリハルコンです」
「ええ~~!! オ、オ、オリハルコン!!」
「?? 加奈様、ご存じなのですか」
「オリハルコンって、幻の金属で、実在するなんて信じられない…」
「はい、とても貴重な金属ですが、とても丈夫で軽く、武器や武具を作るのに使います。他の金属や原石、モンスターの骨、幻の花のエキスなどと一緒に錬金を繰り返すと、伝説の盾と同じ位の頑丈さで強い盾が仕上がります」
"確か、壁画の女神様が錬金を重ねて強靭な盾があれば、タルタロスの炎にも耐えられると言っていたけれど…"
加奈は、タルタロスの事が気になって仕方がありませんでした。どの星に行っても、タルタロスの分身がいて、本体のタルタロスを倒さなければ、どの惑星にも危険が及ぶのではないかと思うのでした。
でも、加奈は、地球に戻らねばなりません。
「加奈様、どうなさったのですか?」
「あ…うん…。あれ??」
その時、突然、加奈の耳にかすかに何かの音が聞こえてきました。その音はどんどん大きくなり、激しい耳鳴りがして空間がどんどん歪んで来ました。
「気持ち悪い~~!!」
吐きそうで、加奈はしゃがみこんでしまいました。
「加奈!!」
操縦室にいたサタンが走って来ました。サタンはしゃがみ込んでいる加奈を抱きしめ、ライの手をつかみました。
「ライ、時空の歪みが発生している! 互いの手を離すな! 意識を集中しろ!!」
「ぐう…」
ライもひどい吐き気に襲われながら、サタンと加奈の手をしっかりと握りしめました。
「うわあ~~~!!」
時空の歪みの波が、3人を飲み込んでしまいました。















































































