■-第5章 最終章- 別れ路
2019年01月02日
第5章 最終章 別れ路 -光と影-⑥-
2018年09月09日
第5章 最終章 別れ路 -せつなき想い-⑤-
2018年07月14日
第5章 最終章 別れ路 -結界-④-
2018年07月07日
第5章 最終章 別れ路 -モンスター襲来-③-
2018年05月20日
第5章 最終章 別れ路 -届かぬ想い-②-
「加奈様! 加奈様!!」
「う~ん、むにゃむにゃ……ごはん、まだ?」
「加奈、何をねぼけている! 早く目を覚ませ!」
ねむけまなこの加奈の目に映ったのは、心配げに見つめるライと呆れ果てた顔をしているサタンの姿でした。
「加奈様、どこかお怪我はありませんか? 大丈夫ですか?」
「あ!!……そうだった!! 宇宙船から、又、飛ばされたんだった。ここは、どこ?」
加奈があたりを見渡すと、うっそうとした森の中、むせかえる程の緑の香りと生い茂った木々の隙間から、美しい山々が連なっていました。鳥の声も聞こえ、加奈が以前降り立った原始星同様に、自然豊かな場所でした。
「うわあ~! 空気がおいし~い、気持ちがいいねぇ」
「そうですね。でも…」
「?? ライ、何か気になる事でもあるの?」
「どこか見覚えのある星なのですが、私の記憶が正しければ、この星はスクトウム星から、そう離れていないエアルアル星だと思うのですが…」
「ライはこの星を知っているの?」
「はい。以前、仕事で王子と一緒に降り立ったのですが、美しい星ではありますが…」
「???」
「大型のモンスターが多いのです」
「大きいモンスター??」
「それも、凶暴で人を食べる」
今まで黙っていたサタンが、ぼそりと言ったので、加奈は、口をあぐあぐして何も言えず、真っ青になってしまうのでした。そんな話をしている時、突然、森の中からガサガサと音がしたのでした。
「ひ!! 人食いモンスター!?」
サタンもライも剣を持ち、身構えた瞬間でした。
ライと同じように耳が少し長く空色のオカッパ頭の美しい女性が笑いながらサタンに抱き着いてきました。
「え!?」
「!?」
加奈とライはあまりの突然の事に、口を開けたまま、何も言うことが出来ませんでした。
「久しぶりね、サタン。とても会いたかったのよ。今回はどの位この星にいられるの? 私の村に来てくれたのでしょう」
「リーゼ、ちょっと離れてくれないか。今日は仕事で来たんじゃない。君の村には行かない」
「どうして? あら、今日はひとりじゃないの?」
その美しい人は、加奈をまじまじと見つめました。加奈に注がれる刺すような視線に、言葉が出ませんでした。
「この子供、サタンの妹? 同じ黒髪だけど似ていないわね。こんな子供、何で連れて来たの? この子は宇宙船に置いて、サタンだけ私の村に来てよ」
「君! 失礼じゃないか!! 加奈様は子供じゃない」
「ライ!! 初対面の人に失礼よ。ごめんさい、私、この星初めてなので…」
「あら、そうなの。ふ~ん…あなた、子供のくせに加奈様って偉いの? そうは見えないけど」
ライは、もう怒りが露わであわてて加奈はライを押し留めながら、女に笑顔で話すのでした。
「全然、偉くないですよ。実は私、サタンの遠い親戚なのです。それで、似てないんです」「あ~、そうなの、そうよね。全然似てないもの。あなた達も村に来ていいわよ。ご馳走するわよ。ねえサタン~~、 いいでしょう」
甘ったるい声でベッタリと、又、サタンに抱きついて、サタンはうんざり顔でしたが、女のなすがままでした。
「それじゃ、今日だけだからな。明日は行く所があるから」
「サタン様!!」
ライは怒ったようにサタンを睨みつけました。
「分かりました!! 加奈様、私たちはお邪魔のようですから、別の町か村へ行きましょう!」
「あ! ちょ…ちょっと、ライ!!」
まだ気を失っている竜斗を抱いている加奈の手を引っぱって、ライは反対側に歩いていくのでした。加奈は振り返り、サタンを見ましたが、サタンは追いかけてくる様子も無く、ベタベタする女性と話をしていました。加奈は、少し淋しい気もしましたが、いつもの事と思いながら、ライと共に山道を下っていきました。
はるか下の方に、同じ作りの家々が並んだ小さな村が見えて来ました。家々の回りには、果物のような美しく大きなオレンジ色の実が、たわわに実っていました。のどかな里山の村の景色に、加奈とライは心を奪われて、少しの間、立ちつくしてしまうのでした。
2018年02月12日
第5章 最終章 別れ路 -最後の惑星-①-
「加奈、まだか?」
「え~っと…」
「加奈、またなのか…」
「だって…」
「わかった、わかったよ」
サタンは加奈の部屋の入りました。案の上、いつものように加奈は、上着を前と後ろ反対に着て、腰ひもはダランと垂れ下がり、靴下は、半分ずれて髪の毛はボサボサでした。
サタンは加奈の身だしなみを直すのが日課になってしまいました。
「ほら、こうして結べば、綺麗に蝶結びになるだろう」
「じぃ~~」
加奈は、腰ひもではなく、サタンの顔を見つめていました。
「な…なに?」
「サタンは男の子なのに、なんで何でも上手に出来るの?」
「お、男の子!?」
「だって、サタンはまだ19才なんでしょ。私の星だと高校卒業して大学に入ったばかりの年齢だよ」
「だから?」
「まだ、ワイワイガヤガヤする歳なのに、サタンは大人だよね」
「それで?」
「19才って、まだ多感な年頃だよね。女の子にもいっぱい興味あるよね」
「何が言いたいんだ、加奈」
「サタンも、ミーティア王女様みたいにグラマーが好きなの?」
「ええ~!? な、なんでそんな話になるんだ!?」
「だってぇ…」
「ほ、ほら、こっち向いて。ボタンがずれている」
二人の様子をそっと見ていたペルセウス王子は、笑いが止まりませんでした。
「ククク、アッハハハ!! おかし~い、お腹が痛くなるぞ」
「王子、悪いわよ。そんなに笑うなんて」
「あの二人、可愛いなあ。アハハハ。もうだめだ。腹がちぎれそうだ」
二人はとても初々しく映りました。クールなサタンも加奈にかかっては、何か調子が狂ってしまうのでしょう。
ようやく目覚めた加奈の服を直しながら、サタンはこんな有りふれた日常がとても幸せで、満ち足りた気持ちになるのでした。しかし、二人の路はもうすぐ右と左に別れる日が近づきつつありました。
「お…お待たせし…ました」
ライが両手いっぱいの荷物を持って、部屋に入ってきました。
「ライ、何!? そのいっぱいの荷物??」
「王子とミーティア王女様からの贈り物です」
「ええ~~?? こんなにいっぱい!」
「あら、加奈、これでも半分に減らしたのよ。本当は、全部持って行ってもらいたいのに、サタンたら必要無いなんて言うんですもの」
「ハ…ハア…」
加奈は、凄い荷物の山にびっくりするばかりでした。
「それでは、宇宙船の方へお持ちしますが…」
「少し待ってくれないか。城より離れているところに、宇宙船を待機してあるから」
サタンと加奈は、王子と王女に別れを告げて、また、サタンの宇宙船へと戻って行くのでした。
ライは、アンドロメダ星までついて行く事になりました。サタンの宇宙船は、アンドロメダには降りられないので、ライが一緒に、イカロス号で降りる事になったのです。
ライ自身は、地球まで、いいえ、ずっと加奈の従者としてついていきたかったのですが、それは許されませんでした。
タルタロスの存在が完全に消滅したか分からないし、ペルセウス王子が王に即位後、ライの力が必要なはず、と加奈は思ったのでした。
だからと言って、ライの気持ちを無下に断れないので、アンドロメダまでとなった訳です。
サタンの宇宙船内の高度の設備や乗組員のロボット、サイボーグは、ライにとって何もかもが新鮮でした。
「サタン様、加奈様、お帰りなさいませ」
「一人ライが増えるから、そのつもりで」
「はい、サタン様。メシエ様からお話があるそうです」
「すぐに行く。加奈、ライの部屋は、僕たちの隣にするから、そっちで待っててくれ」
「うん」
加奈とライは荷物の整理を始めました。
たくさんの服、宝石、そして食べ物、全部の荷物を開けるのに、1日では終わらないくらいでした。
「こんなにいっぱいの服、まるでこれじゃあファッションショーが出来ちゃうわ」
「ファッションショー?」
「あれ…この石のような金属? 何か不思議な力を感じるけど…」
「さすが加奈様。この金属の力を見抜くとは! この金属はオリハルコンです」
「ええ~~!! オ、オ、オリハルコン!!」
「?? 加奈様、ご存じなのですか」
「オリハルコンって、幻の金属で、実在するなんて信じられない…」
「はい、とても貴重な金属ですが、とても丈夫で軽く、武器や武具を作るのに使います。他の金属や原石、モンスターの骨、幻の花のエキスなどと一緒に錬金を繰り返すと、伝説の盾と同じ位の頑丈さで強い盾が仕上がります」
"確か、壁画の女神様が錬金を重ねて強靭な盾があれば、タルタロスの炎にも耐えられると言っていたけれど…"
加奈は、タルタロスの事が気になって仕方がありませんでした。どの星に行っても、タルタロスの分身がいて、本体のタルタロスを倒さなければ、どの惑星にも危険が及ぶのではないかと思うのでした。
でも、加奈は、地球に戻らねばなりません。
「加奈様、どうなさったのですか?」
「あ…うん…。あれ??」
その時、突然、加奈の耳にかすかに何かの音が聞こえてきました。その音はどんどん大きくなり、激しい耳鳴りがして空間がどんどん歪んで来ました。
「気持ち悪い~~!!」
吐きそうで、加奈はしゃがみこんでしまいました。
「加奈!!」
操縦室にいたサタンが走って来ました。サタンはしゃがみ込んでいる加奈を抱きしめ、ライの手をつかみました。
「ライ、時空の歪みが発生している! 互いの手を離すな! 意識を集中しろ!!」
「ぐう…」
ライもひどい吐き気に襲われながら、サタンと加奈の手をしっかりと握りしめました。
「うわあ~~~!!」
時空の歪みの波が、3人を飲み込んでしまいました。
















































































