第1話 -サタンの宇宙船-
2016年09月10日
第4章 いざないの扉 第1話 -サタンの宇宙船-
アルディ星にようやく戻ってからは、まだ頭の中が現実に戻ることが出来ず、4人とも何日かぼんやりと過ごしていました。 ようやく頭がすっきりして来て、このアルディ星から離れる時が来ました。 ルーディヒとシリウスとも、ここで別れる事になりました。
「加奈、短い間だったけど、楽しかったよ。さよならは言わないぜ。多分、又、会う事になるからな。おいサタン、俺は加奈が気に入った。いつでも連れ去ってやるから、覚悟しておけ」
ルーディヒは、笑いながら言うのでした。
「なに言ってんだよ。加奈はまだ10才だろ」
「シリウス、知らないのか。幼い頃から教育すれば、俺色になるのさ」
「バカか、お前は!! 何を教育するんだよ」
相変わらずの二人に皆、大笑いでした。家から、おばあさんが出て来ました。手には見たこともない美しい布ひもを持っていました。その布ひもを加奈に腰に巻きました。
「ようやく出来上がった。さあ、その布は、お前のものだ。きっと、その布が、他のものと共鳴して、お前の力となるだろう。さあ、みんな。新たな旅の始まりだ。ここの結界は解くから、もう、この村は無くなる。私も星へ帰るからね」
ルーディヒの仲間とシリウスは、野生馬をつかまえて町の方へと走っていくのでした。サタンは剣を空へ向けて、イカロス号を呼びました。加奈を抱いて、イカロス号へと飛びました。
サタンと加奈が下を見ると、村全体が星の紋章の図面の中にある事に気がつきました。不思議な体験でした。星の紋章は、あの里ときつね族の星とアルディ星、そして遺跡と、何かで繋がっているのかもしれません。
そして、どこへ行っても、タルタロスの存在がある事に加奈は、一抹の不安を感じないわけにはいきませんでした。
ようやくサタンの宇宙船に戻って来ました。ドラゴンの子供がすっとんで来ました。嬉しそうにペロペロペロと加奈に頬を嘗めるのでした。
「キャ~、くすぐったい。ちゃ~んと覚えてくれたのね」
「最初にうちは、加奈がいないから、全然エサを食べないから心配したよ」
「そーいえば、お前、名前をつけてあげないと。でも、オスかメスか分からないわね」
加奈はドラゴンをひっくり返してみました。
「キュ~ウ~!! ガウガウ」
ドラゴンはびっくりしてバタバタしていました。
「加奈、何やってんるんだ!?」
「あれ~、おかしいなあ。このドラゴン、メスかオスか分からないんだけど、ねえ、この子どっち?」
「分からないよ。きっと、オスだろ?」
「なんで?」
「な…なんでって…。別にどっちでもいいだろう。ちょっとメシエの所に行ってくる」
「あ…サタン!! なんで、そんなに慌てているの? 変なサタンね。仕方ない。それじゃあ、お前はオスという事で、そうね、竜斗(リュウト)にするわ。お前の名前はリュウト、わかった?」
「ガウガウ」
白ドラゴンのリュウトは、わかったように返事をしました。
リュウトを抱いて、加奈は自分の部屋へ行きました。加奈のお付きロボットが部屋を片付けてくれていたので、整頓された部屋でようやく加奈はホッとしました。
宇宙にいると1日の時間がよく分からなくなりますが、サタンの宇宙船では、規則正しく時間が管理されているので、朝の太陽とはいかないまでも、1日の時間を自覚することが出来ました。
部屋にはいろんな色のボタンがあり、色別で分かるようになっていました。
すると、緑色のボタンが光りました。
「あ! 食事の時間だわ。久しぶりだなあ。おなか、空いてきたし、楽しみ~♪楽しみ~♪」
今日こそ、ゆっくりと食事が出来るだろうと、食堂へと急ぎました。
サタンの宇宙船は、すごく大きかったので、乗務員の半分以上はロボットとサイボーグでした。人間と言っても、人造人間らしく、表情があまりありませんでした。
それでも、加奈がサタンの宇宙船に乗るようになってから、少し変化が出て来ました。皆、番号で呼ばれているため、加奈は勝手にそれぞれにアダ名を付けていました。
「あ、加奈さま、お食事の準備が整いました。今日はサタンさま、加奈さまがお戻りでしたので、腕をふるいました」
料理長のサイボーグのコックが呼びに来ました。RD134-2567なんとか・かんとか??と言うらしいのですが、とても覚えられないため、料理をつくるサイボークということから、"コック"というアダ名をつけました。
食堂には、もうサタンが座っていました。テーブルには、美味しそうな料理がいっぱい並んでいました。
「わあ~、すご~~い!!」
「コックが張り切り過ぎたようだ。こんなに作らなくても…」
「でも、嬉しいなあ~。ご飯もあるし、教えてあげたハンバーグ、カレーライス、わあ~~、加奈の大好きなオムライスもある~~★★ いっただきま~す」
凄い勢いで食べている加奈に、サタンは、唖然としていました。
二人だけの食事でしたが、サタンは、加奈の楽しそうに話をし、食べている様子に、心の安らぎを感じるのでした。
宇宙船に乗ってから、サタンはいつも一人でした。加奈と違って、乗組員は、宇宙船の一部と考えられていたため、事務的なこと以外、話すことなど無かったのです。唯一、メシエだけが、サタンの話し相手でした。
「あ~、お腹いっぱいになった。お腹いっぱいになったら、眠くなったわ」
「加奈、今日は戻ったばかりだから休んで構わないけど、明日から普通の生活に戻るよ」
「え? も…もしかして…」
「その、もしかしてだ。勉強と剣の練習は明日から始めるから、そのつもりで」
「え~~え~~!! そんなあ…」
「宇宙では、何が起きるか分からない。ある程度の知識と剣の強さが必要なのは身に染みてわかっているだろう?」
「ブー…ゥ……」
急にふくれっ面になる加奈でした。
自由奔放のルーディヒと違って、サタンは加奈にも厳しかったのです。何をしても大丈夫だったルーディヒの海賊船の生活に慣れたためか、加奈は少し、怠け癖がついたようでした。
部屋に戻ると、加奈は大きな窓から見える星を見ていました。地球から見る星と宇宙船から見る星はだいぶ違います。時折、宇宙船を見かける事もありました。その時は互いに交信し、ぶつからないように船の位置を修正したり、違う方へワープすることもありました。
宇宙船もいいのですが、加奈は宇宙酔いする事が多かったため、本を読むのが嫌いでした。勉強が嫌いなせいもありますが、文字を目で追うとそれだけで何故か吐き気がしてくるのでした。
サタンが呼ぶランプが点きました。
「あれ? こんな時間にどうしたのかしら?」
加奈は急いでサタンの部屋へ急ぎました。加奈の部屋からサタンの部屋まで入り組んでいるため、覚えるのに随分時間がかかりましたが、ただ、曲がる所が多いだけで、すぐの距離なのですが…。
方向音痴の加奈にとっては、結構大変でした。サタンの部屋のドアは開いたままでした。
「サタン、どうしたの?」
サタンは、いつもの服と違って薄い柔らかなシャツと長い光沢のある腰ひもを軽く結んだ楽な格好をしていました。
酒のグラスを片手に、大きな窓の外の星空を見つめるサタンの姿に、加奈は一瞬ドキッとしました。長い黒髪が少し乱れて、何かを考えている横顔は、凄く大人びて見えました。
「加奈、どうした。早く、ここへおいで」
「う…うん…」
「また、何が起こるか分からない。それにこれからは、もっと危険な旅になる。加奈、一緒の部屋でいいか?」
「え~~!?」
「??竜星では一緒に部屋だっただろう。加奈の荷物、持ってこさせるけど、自分で持ってくるか?」
「あ…あう…自分で持ってくるから大丈夫。そ…それじゃあ」
「加奈??」
加奈が急に背を向けたので、サタンは加奈の手を取り、加奈を自分の方へ向けました。
「どうしたんだ? 加奈、嫌なのか? 嫌なら部屋を隣にするよ。ちょうど隣、空いているからそうしようか?」
「う……。今日のところはいい。サタンと一緒で…」
「もう時間が遅い。疲れただろう。先にベッドで寝ていてくれ。僕はちょっと調べる事があるから。さあ、こっちへおいで」
サタンは加奈を軽々と抱くと、ベッドに寝かせました。一緒についてきた白ドラゴンも大あくびをして、ベッドの下に潜り込んでしまいました。
サタンはやさしく布団を掛けてくれました。布団の中から覗くと、少し離れた机で、サタンは何かを調べているようでした。部屋の電気は消えているので、薄暗い所に小さなお洒落なランプの光が、サタンの横顔を写していました。
加奈は布団をかぶってしまいました。
“今まで一緒に寝ていたのに、何で急に恥ずかしくなったのかしら… ううん、違う。本当は恥ずかしいのが当たり前なのに。今までが私、どうかしていたのかも。 それともいつも一緒に寝ていたが、慣れちゃったのかしら…。どうしよう。 まだ、嫁入り前なのにハレンチかも…。いや、でも、こんな状態なんだもの。仕方ないよね…。本当はサタンと一緒に方が安心するのに…。でも、サタンは平気なのかな。やっぱり私を女の子として見てないのかも…。うう…分からなくなってきた。でも、眠くなてきた。むにゃむにゃ…”
加奈の頭の中は混乱していましたが、疲れていたせいか、知らないうちに寝息を立て、眠りの世界へと入っていきました。そんな加奈の気持ちをサタンは分かっていたのでしょうか。加奈を起こさないように、そっとサタンはベッドの中に入り、気持ち良さそうに寝ている加奈をいつまでも見つめていました。
静かな時の流れに二人の想いを乗せて、サタンの宇宙船は、星々の海の中を進んで行くのでした。















































































