第1話 -青き竜星-
2015年07月18日
第2章 ドラゴンの翼 第1話 -青き竜星-2
「キューン」
「え?」
「キューン、キューン」
その変わった鳴き声の主は、加奈の足にしかとつかまり、加奈の足をぺろりとなめました。加奈は悪寒がして体が震え、こわごわと足元を見ると、小さな動物がしかと加奈の足にしがみついているではありませんか!!
「え!! え!! えぇ~~~~!!」
その小さな小動物は、ドラゴンの子供でした。変わったドラゴンで、背中にリボンのような羽もつけていました。
足をぶんぶん回しても、ドラゴンはしがみついたまま離れようとはしませんでした。でも、噛みつく気配はないので加奈は仕方なく足にドラゴンをつけたまま(?)階段を上がり、元の広くて明るい廊下へ戻りました。
「おい!! お前!! 何やってんだよ!!」
背後から声がしました。赤毛のレッドと呼ばれた少年が唖然として経ちつくしていました。
「あ~、良かった。助けてくれない? 何か、この子、足にくっついたまま、離れてくれないのよ」
「白ドラゴンの子供じゃないか!! お前、男だったのか!!」
「失礼ね!! どこが男なのよ!! 私、女の子よ!!」
「白ドラゴンは、女には近寄らないはずなのに…。う~ん、まだこいつは子供だし、ドラゴンも子供だからかな…」
「何ぶつぶつ言ってんの!! なんとかしてよ!!」
「白ドラゴンを母親の所へ返さないと大変なことになる。でも…なんで城に白ドラゴンの子供がいるんだ?」
「人の話聞いてんの!! なんとかしてったら!!」
レッドが加奈の足からドラゴンを離そうとした瞬間、ドラゴンの子供は大きく口を開いてレッドの手にガブリと噛みつきました。
「イテェ~~~!!」
「あっ!! こら、だめでしょ!!」
加奈は思わずドラゴンの頭をポカリと軽くたたきました。
「うわあ、お前、何すんだよ!!」
「何するって、噛みついたんだから、お仕置きでしょう」
「そんなところ、母親ドラゴンにみられたら殺されるぞ」
「うそぉ~!!」
「と…とにかく早く母親の所に返さないと…」
「そんなこと言っても、白ドラゴンはどこにいるの?」
レッドと加奈は、城の人間に見つからないように身を隠しながら城から出ました。
外に出ると、夜はしらじらとあけていました。ドラゴンはようやく加奈の足から離れはしましたが、加奈にまとわりつくのでスカーフを袋にし、その中にドラゴンの子供を入れ、だっこする形でスカーフを首からつりさげました。
「何かカンガルーの母親になった気分だわ」
「カンガルーって何?」
「私の星の動物よ、お腹の袋に子供を入れて育てるのよ」
「へぇ~」
レッドと話をしていくうちに、加奈の降り立った星の位置が少しづつわかってきました。竜星とよばれるこの星は、星虹銀河の端に位置し、タルタロスの銀星よりだいぶ離れてはいましたが、星虹銀河系の星でした。
竜星はドラゴン星とも呼ばれ、人とドラゴンが共存していました。地・風・火・水のそれぞれのドラゴンがいて、4つのドラゴンの主が白ドラゴンで、それは伝説のドラゴンとよばれ、神ともよばれ、人々から崇拝されていたのです。
すべてのドラゴンがつばさを持っているわけでもなく、つばさを持たないドラゴンは、体も小さく、おだやかな性格でしたので、人々の生活の助けにもなったのです。乗り物の代わりになったり、畑を耕したり、海辺の漁にも人々と共に仕事をしたりとなくてはならない存在だったのです。
何年か一度、大きなレースがあり、その時だけは、つばさを持つドラゴンをつかまえていいことになっていました。
ドラゴン狩りは、命がけです。なぜならつばさを持つドラゴンは、性格も荒く野生的であり、調教して初めてドラゴンの背中に乗ることが出来るのでした。
この星のドラゴン狩りは、星虹銀河の成人の儀式でもあったのです。
昨日は空間移動したので、城のまわりや城下町の様子がわかりませんでした。
城は山の頂にそそり立っていたので、長くてきびしい下りの道を降りていかねばなりませんでした。
「自転車とかないの? 疲れるよ~」
「自転車って何? このくらいで疲れるなんて、白ドラゴンの山はもっと険しいんだぜ」
「えぇ~!! 山を登るの?」
「仕方ないか、馬を調達するか」
「ええ~!! 馬に乗るの??」
「お前…」
「お前じゃない、加奈という名前があるのよ」
「やれやれ…」
二人はあーだのこーだの言い合いながら、城下町の方へ降りていきました。
サタンは無事なのだろうかと、加奈は不安になってきました。
でも、今は、子供のドラゴンを母親に返すことだけを考えるようにして、その後のことは、なりゆきにまかせようと思いました。
下の方から海風が吹いてきましたが、はるか遠くには険しい山並みが連なっていました。高台なので、いくつかの島も見えました。
地球の景色とは違う、壮大な自然に恵まれた星でしたが、なぜか加奈は不思議な息苦しさも感じていました。それが何かはわかりませんでしたが、これから始まる加奈の冒険の序幕に過ぎなかったということを誰が想像したでしょうか……。
2015年07月12日
第2章 ドラゴンの翼 第1話 -青き竜星-1
亜空間送路でたどり着いた場所は、青い大地に、貝がらの形をした建物の並ぶ不思議な所でした。珊瑚礁のような山々と、海草の形をした木々は、まるで海の底にいるようでした。風の音さえも海なりのようで、磯の香りがあたりを包み込んでいました。
さっきまでの、地獄のような所からがらりと変わって、竜宮城に来ているみたいで、加奈は、ぼんやりとするばかりでした。
「ダダダダダーッ」
静けさをやぶるバイクのような車のすごい音が、聞こえました。深い紺色の革ジャンを着た少年が、加奈の目の前に立ちふさがりました。
「お前、何してるんだ、こんな所で」
「星虹銀河の人間じゃないな」
「どこから、来たんだ?」
たて続けに少年たちは、加奈に質問をあびせました。
三人の少年は、珍しげに、じろじろと加奈を見ていました。
「こいつ、あいつと同じ黒い髪だぜ」
赤毛の少年は、そう言うと、加奈をにらみつけました。
「まさか、あいつと同じ暗黒銀河の魔界星人じゃないだろうな」
栗毛色の少年は、加奈を不信そうに見ながら、言いました。
「それにしては、やさしい顔じゃないか」
空色の髪の少年は、そう言うと不思議そうに加奈を見ていました。
「何してる、寄り道して!! 早くしないと嵐がくるぞ!」
三人の少年は、後ろをいっせいにふり向き、
「スチュワート!」
と、呼びました。
スチュワートと呼ばれた少年を見て、加奈は、ハッとしました。髪の色はシルバーグレーではありましたが、サタンと雰囲気がよく似ていたのです。
「風の向きが北に変わった。ぐずぐずしていられない。さあ、お前、後ろに乗れ」
キョトンとしている加奈に、スチュワートは、ひょいと加奈を抱きあげ、車の後ろに乗せました。
「スチュワート、こいつ、星虹銀河の人間じゃないし、あいつとかかわっているかもしれないんだぜ」
「嵐の中に置いていくつもりか!! 急げ、追いつかれるぞ!!」
風を切るように四人の少年は、バイクを走らせました。海草の形をした木の並木は、はてしなく続き、空はうずを巻き、波の音がこだまのように響いてきました。
今まで美しい空が黒い雲におおわれてきました。激しい稲妻が空をかけめぐり、風のうずは少年たちのバイクを激しくゆらしました。
「うわあ~!! バイクが倒れそうだ!!」
「スチュワート、城までまだ遠い、これじゃあ、渦に巻き込まれるぞ!」
「仕方ない、バイクはあきらめ、城まで移動するから、おい、お前、しっかりつかまれ、空間移動するから、皆、集中しろ!!」
「えっ?」
ぐらりと激しいめまいとともに、加奈はゆらりゆらりと体が浮くのを感じました。
しかし、それもつかの間、気がつくと、四人の少年とともに、城の中庭の前に立っていました。
「あ~、あぶなかったな」
「ロミオが、湖の方へ行こうと言うから帰りがおそくなったんじゃないか」
「なんだよ、レッド、ドラゴンを見たいと言ったのはお前じゃないか」
「いいかげんにしろ!!」
スチュワートの一声でみんな押し黙ってしまいました。
「もうすぐ、ドラゴンレースだ。皆のあせる気持ちはわかるが、まだレースまで日があるじゃないか」
「スチュワートは、ドラゴンの調教がうまいからいいけど、狩りより調教の方が時間がかかるんだぜ」
「明日には風がおさまるから、湖の方へ行ってみよう。ちょうど衛星が近づくから夜も明るい。ドラゴンも見つかりやすいだろう」
そう言い合いながら、少年たちは、バタバタと城の中へ入っていきました。
加奈はひとりオロオロと立ちつくしていました。
「君も入りなよ」
声をかけてくれたのはスチュワートでした。
「え? いいの?」
「構わないよ、部屋に案内するから入りなよ」
城の中に入ると美しい水色のじゅうたんが敷きつめられ、貝の形をしたシャンデリアからは明るい光がふりそそぎ、窓ガラスには、美しい模様がほどこされていました。
らせん状の階段を上がり、加奈は貝の形の扉の部屋に案内されました。
部屋はとても広く、外は嵐で真っ暗なのに、部屋は明るく輝いていました。
「食事は後で持ってこさせるけど、疲れているなら、ベッドで寝てもかまわないから」
「あ…ありがとう…」
何度か空間移動したせいなのか、体の節々が痛く、頭もどんよりと重く、体が鉛のようでした。サタンのことが心配でしたが、少年が星虹銀河と言っていたところをみると、そんなには飛ばされていないはずだと思いました。 かならず、サタンは、自分を見つけてくれると信じていました。
豪華な食事が運ばれても、疲れのためか食べる気にもなれず、スープだけ飲んで、柔らな羽のようなベッドに入るとすぐに寝てしまいました。
激しく雨音が窓ガラスを打ち続けていました。海草のような木は大きく揺れて、嵐は時間を追うごとにひどくなってきていました。地鳴りのようなゴォーという音で加奈は飛び起きました。窓の外を見ると、雷光が矢のように降り注ぎ、ズズン、ズズンと地震のように城さえも揺さぶるほどでした。
加奈は心細くなってきました。他の人はどうしているのだろうと、部屋を出てみました。 けれども、部屋から出たものの、城の中は広く、加奈はまた迷ってしまいました。
「あれれれ…ここ、どこ??」
同じような貝がらの扉が続いているので、どこが自分の部屋かわかならくなってしまいました。
それでもどんどん歩いていくと、今までとは違う階段を見つけました。その階段を降りていくと…。
かすかに音が聞こえます。何の音かと階段を降りていきました。どのくらい階段を降りたでしょうか。さっきまで明るい感じの城が、暗くよどんだ石の階段に変わり、地下へと続いている感じがしました。
石の階段が行き止まり、光がかすかになってきました。加奈は怖くなり、戻ろうとした時に足元に何かが触れました。
(C)むらさきすみれ















































































